6月27日(木)「第4回復職支援研修」in奈良県立医科大学教育開発センタースキルスラボ

全国の高齢化率は28.7%と高く、認知症を伴う高齢者が増加している。医療や介護の現場では、高齢者への対応が増え、多忙を極め離職を選択する看護職が増えていると言われています。今回、奈良医療センターの認知症看護認定看護師の講義と、奈良県立医科大学教育開発センターが有されている画像装置「VRシステム」を活用した研修を実施しました。
認知症患者の現状と施策・主な原因疾患と症状・中核症状とBPSD・せん妄・意思決定の支援等について講義をしていただきました。VRシステムを用いたバーチャル臨床体験では、①入浴拒否の利用者様の視点②帰宅願望者の利用者様の視点③食事拒否の理由把握と対応④清拭の対応の4症例を視聴しました。
高齢者疑似体験教材を用いて、高齢者になって研修室を歩いたり、ボールを投げる等の動作をしました。想像以上に耳が聞こえにくく、視界も悪く、身体の平衡感覚がうまく保持できないことがわかりました。
受講者からは「現場では認知症はひとくくりに捉えてしまっています。各認知症の特長を捉え、それに応じた対応や環境整備が大切だと痛感しました。」「VRを見せていただき、自分の今までのケアを振り返る機会となりました。」「認知症患者様の興奮状態や夕暮れ症候群の対応に悩んでいました。患者様の不安や恐怖から来る症状の現れだと学び、私は患者様の目線で関わっていなかったと気付かされ反省しました。認知症の疾患や心理をもっと理解して寄り添う看護をしていきたいと思いました。」「高齢者体験をして、街中で見かける高齢者はこんなにも大変な思いをして生活をしているのだと初めて知りました。今後、高齢者患者様と関わることが多いため体験で学んだ事を生かしていきたいです。」等の感想をいただきました。
研修を通して、認知症の症状でいちばん苦しんでいるのは認知症の人自身であり、生きづらく、不安や恐怖を感じていることを理解して、私たちが変われるようにすることが大切だと改めて認識できました。講義とVRシステムを合わせた復職支援研修は初めての試みでした。講義内容を疑似体験することで、より理解が深まり、患者様との関りにもすぐに活用できるよい研修だと思いました。
今年度は、講義とVRシステムを合わせた研修が「感染症看護」「災害時の支援、非常事態とトリアージ」があります。お楽しみに。(奈良県ナースセンター)