ごあいさつ

公益社団法人奈良県看護協会会長

奈良県看護協会

会長 春木邦惠

 会長となり1年が経ち、あらためて、想像を超えた重責を感じております。
 奈良県看護協会は、1942年(昭和17年)奈良県看護婦会が創立、1982年(昭和57年)に保健師・助産師・看護師を統合して日本看護協会奈良支部が発足しました。そして、1984年(昭和59年)に社団法人となり、2012年(平成24年)公益社団法人となりました。看護職の資質向上とその専門職を発揮できるような環境改善に取り組み、看護医療の提供だけでなく、人々の安心できる生活への支援に貢献しなければならない責務があります。
 昭和17年の奈良県看護婦会創立から80年を経まして、昨年度末では、奈良県の看護職就業者の約6割となります約9500人の会員を持つ団体となりました。また、全国の看護職員就業者数は、1990年83.4万人から2020年には173.4万人と約2倍に増加しています。
 看護職の置かれている職場は、人材確保困難、看護の専門性を発揮すべき環境に大きな課題があります。看護職の存在とその意義を考えますと、看護協会の役割は、資質向上を中心とした活動に加え、看護職を取り巻く現状の理解と課題への取り組みが重要不可欠となります。
 そのような中、日本看護協会は、「看護の将来ビジョン2040」を2025年6月に提示いたしました。2015年の「看護の将来ビジョン」が前提としていましたのは、地域包括ケアシステムの構築、病院完結型医療から医療・ケアと生活が一体化した地域完結型医療への転換でした。
次なる照準を2040年とし、想定される社会、医療の変容を踏まえ、看護が進むべき方向性、そのために何をすべきかを、新たなビジョンとして提示しています。2015年、日本看護協会は、2025年に向けた「看護の将来ビジョン~いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護~」を公表しました。「疾病をみる『医療』の視点だけではなく、生きていく営みである『生活』の視点をも持って“人”をみる」という看護の専門職としての価値は不変です。そして、社会の変化に応じて、看護のもつ力を十分に発揮していくために、私たち看護職は2040年に向けて、「その人らしさを尊重する生涯を通じた支援」、「専門職としての自律した判断と実践」、「キーパーソンとしての多職種との協働」の3つの目標を提示しています。これらの目標に挑戦するためには、看護職一人ひとりのウェルビーイングを忘れてはなりません。看護職も生活者であり、その個人としての生活や心身の健康が成り立ってこそ、働き続けることができ、専門性の持続的な向上が可能となるのです。
 更に、見失ってはならないのは「看護の心」です。私たちは、誰よりも他者の痛みを理解し、それを癒そうと努力し、思いやる心を大切にできる職種です。どのような環境に置かれましても、専門的知識と技術をもって、人々の健康維持増進への意欲を促し、健康寿命の延伸に貢献していくことが求められています。光明皇后が示された慈悲の心、その心に近づく努力を惜しまず、一層精進してまいりたいと思います。
奈良県看護協会は、訪れる皆さまが、看護協会に行くと「医療の最新情報がもらえる、他施設の仲間と情報交換ができる、なんかほっとする」という機会と時間を持っていただけるよう、職員一同、心から皆様の支援に、真摯に取り組んで参ります。 どうか、今後ともよろしくお願いいたします。

2025年6月21日